2012年10月30日火曜日
GENESIS

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出入り先に放置されているNAロードスター(いわゆる“ユーノス ロードスター”)の運転席に初めて座った。ナンバー切ったボロボロの車両なんで動かしはしなかったが、何より驚いたのがドライビングポジション。私の身長でも、完璧だった。ABCペダル、シフトノブ、ステアリング、全てがベストな位置にあって、理想のカタチを教えられた気がした。

ということで、NCのクラッチ調整した。今でも運転に支障はないが、理想のカタチはまだまだ先だ。

2012年10月29日月曜日
1,700kmを越えて

納車からおおよそ1ヶ月、1,700kmくらい走り終えてのロードスターの感想をば。

エンストや坂道を怖がるところは過ぎ去ったものの、正直いまだにMTには慣れない。ある人に3,000まで回してもらって外でその音を聞いて(あんまたいしたことなかった)から、とりあえず回せばいいやと開き直ってぶんぶん回してるけど、クラッチを意識していたわってるわけじゃなし、206の時のようなスムーズさには程遠い。まあ、そこらへんは1年くらい乗ってから考えようと思っている。


206との比較

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私のものではなくなった206にその後乗る機会があった。300kmくらいの時と、ついこの間の話。1回目、他のコンパクトに比べれば、あれほどうるさく、狭く、乗り心地も良くない206が、まるでレクサスあたりの高級車のように感じられた。高速道路とか楽すぎて、ほんとにこれだったらこのまま日本一周もできそうな感じ。

この前、BE型レガシィB4(1998-2003)の後部座席に乗る機会があったんだけど、RSKという走りのモデルのツインターボ260PS(ちなみに206は108PS、NCは170PS)にもかかわらず、そのまま天国にいけそうなほど乗り心地が良かった。本当に。

NCは過去モデル比で言えば、室内も広がったし、低回転からトルクが出るので回さなくてもいいから静かだし、大きくなったしEgもどちらかと言えばグランドツーリング向けで、更に私のはホイールが16インチの走り向けではないモデルなので、乗り心地も悪くないと言われている。でも、それはあくまでスポーツカーとしてはであって、他のカテゴリの車とは全然違う。

2度目、ついこの間206に乗った時、それを痛いほどに体感した。1ヶ月経っても、私はまだロードスターが自分の車だ、と断言できるほど乗れているわけじゃない。でも、残念ながら、206は既に、本当に、私の車ではなくなっていた。昔はATの変速タイミングも当たり前のようにわかったけど、そうではなくなっていた。あまりにも高い視界と、広い運転席。シート位置も、ハンドルの回し方も、アクセル・ブレーキの踏み方も、何もかも違っていた。それを見ていた助手席の人が言った。「大丈夫?」と。多分、1週間続けて乗れば勘は戻るだろうとは思う。でも、私が206にそれだけの期間、続けて乗ることはもうない。

余談: 本当に試乗記とか書ける人を尊敬する。正直、今の私はヴィッツとフィットどっちに乗っても室内が広いというだろうし、タントとN BOXでも同じだろう。自分が乗っていないカテゴリの0.1の違いなどわかりそうもない。


スポーツカー

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“スポーツカー”なんて、日本のいい年の大人が発する言葉ではないなあ、と冷ややかに思っている自分もいる。ちなみに見てほしい。ロードスターNCは、彼氏に乗ってほしくない車、堂々の1位(2008年版カーセンサー調べ)だw。

まあ、それはともかく、NC(特に幌ではないRHT)は私のような初めてスポーツカーの人も多いらしく、ピュアスポーツから比べれば気合いも入ってないし、(NA/NBから比べれば)ライトウェイトでもない、どっちつかずの車として、割りとマニアな皆さんからは毛嫌いされているらしい。さっき余談で書いた0.1の違いで言えば、あまりスポーツカー寄りの車じゃない。

でも、先ほど書いたとおり、実際にはちゃんとしたスポーツカーだ。ちゃんとスポーツカーなりのスピードは出るし、カーブなんかで怖い思いもまったくしない。特にNCは前モデルのロードスターNA/NBとかの昔のスポーツカーやピュアスポーツと違って、トルクがどこからでも出るEgなんで、どこから踏んでも速度が乗る。これはMT初心者としては本当に安心で、慣れてない時に2速と間違えて4速で交差点を曲がったときも、ゴリゴリ言いながらもちゃんと曲がり、その後もそのまま速度に乗ってくれた。206ではスピードが出すぎてると怖い思いをするカーブもあったけど、ロードスターではそんな思いはまったくない。限界挙動を試す趣味はないので、私が乗っている限りは、まったく破綻はないことになる。

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反対に、着座位置は低くてまわりは見えにくい、はっきり言ってエンジン音はやかましい(特にハードトップは音が篭ってなおさらひどい)、乗り心地も悪い(ハードトップは内装もギシギシ言う。直るらしいが)、室内が狭い(タバコもすえないし背伸びもできない)、ドアを開けるのにも気を使う(206も3ドアだから、そうだったけど)、着座位置が低いから対向車のライトはまぶしいし(ミニバンとか勘弁してくれ)、スピード出してないのに山間だと前の乗用車が譲ってくれる(恥ずかしいから止めてくれ)。

納車以降、私以外で私のロードスターの運転席に座ったのは1人しかない。彼は20歳くらいで、車好きで、古いジムニーに乗っており、カプチーノが家にある、そんな子だ。そんな子がロードスターの運転席に座って、エンジンをかけ、屋根を開け、ステアリングを握り、3,000回転まで回し……道路に出てすらいないのに、目をキラキラさせてはしゃいでいた。まるでドラッグでもキメてるんじゃないかというほど。

その子はコテコテにチューンされたS15シルビアに乗った時と同じように、こう言った。「みやもとさん、マジで……いや、ほんとマジでやばいです。ほんと、絶対に、俺スポーツカー買います。本気です」。周りにいる友人が心配するほど、その時の彼は本当にキていた。まあ、そんなくらいにはスポーツカーだ。

私は、毎日定期的に走る道ではスポーツカーとしてのロードスターに乗っている。欠点を再度書こう。音が篭ってうるさい、まわりが見えにくい、ルーフがギシギシ言う、背伸びもできない……それはそうだと思う。さっき書いた言葉に反するが、その時、私が乗っているのは、単なるスポーツカーであって、ロードスターではないのだから。


ロードスター!

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小さなオープントップは、本当はこの旅にふさわしい。ほんの少しの出費で、途方もないものが得られる。150,000,000kmに及ぶ、広大な青空だ。値段のつけようもない。

と、トップギアのジェレミーも言っているが、もちろん個人の考え方の違いはあるにせよ、私は基本的にジェレミーが言っている以下のことも正しいと思っている。つまり、

28歳を過ぎたら、どんな状況であれ、コンバーチブルのルーフを下げて都市部を走ってはいけない

ということだ。しかし、私は幸いにも鳥取県に住んでいて、人口が全部で60万しかいない。私が昔住んでいたさいたまは人口が120万。私が都市部と思えるところは、鳥取では3つしかない(鳥取市・米子市~境港市・倉吉市)。つまり、車で5分走れば、開け放題だ。

だって、これでは風を感じられないよ。閉鎖的だ。(中略)こんなものを魂が喜ぶとは思えないね。 (『魂の駆動体』より)

電動開閉ルーフの展開時間は12秒。私は外からその動きを見たことは2, 3度くらいしかないが、メカの動きが好きな私でも、この時は車内にいるほうが好きだ。ボタンを押してサイドウィンドウが少し下がった後、後部のルーフカバーが開く、そしてその後、車内を圧迫していた天井ががばっと開き、青い空が見える。

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スポーツカーとしてのロードスターの欠点を上に書いた。でも、オープンカーとしてのロードスター、ロードスター本来の姿では、この欠点は全て解決されている。ロードスターが、たとえRHT(リトラクタブルハードトップ)であっても、屋根を開けることもできる車ではなく、屋根を閉めることもできる車として作られていることがわかる。屋根を開ければ全ては解決すると、設計者に言われているかのようだ。

私が乗ってたコンパクトカー・プジョー206と、スポーツカー・ロードスターはカテゴリーが違う、と最初に書いた。カテゴリーが違う車同士で色々なことを比べることはほとんど無意味だと。そしてこれは、スポーツカーとオープンカーでも当てはまる。この2つは、全く異なった乗り物だ。

実際には、私は身長のせいでシートが前側に寄っていて(これは今後改善したい)、なおかつ眼鏡もかけているので、多くの人が想像するような「目の前に大空が!」なんてことはない。本当にピッタリの天気の時しかサイドウィンドウを下げないので、見える景色もさほど変わらないとも言える(実際には違うんだけど)。だけど、クローズドとオープンでは、まったくもって世界が違う。

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欠点が消える、ということもある。でも、あえて感情的にではなく、論理的に考えるならば、最も違うのは、音の聞こえ方だと思う。例えば、普通の車でも窓を開ければ木々のざわめきや風音、鳥のさえずりなんかは聞くことができる。しかし、それでも車内と車外はどうしようもなく区切られている。

オープンカーは、例え窓を立てていても、全方位からその音が流れ込んでくる。頭上には風がそよそよとかかる。上も後ろもさえぎるものがなく、そこには車内と車外を隔てているものが存在しない。それが、世界との一体感を感じる一番の理由だと思っている。

がんばって論理的に書いたので、後は垂れ流す。感情的に書けば、もう全部違う。オープンであろうがなかろうが関係ないと思えるハンドリング、アクセルペダルの感じ方すらまったく違う。高度を下げるためのゆっくりとした高架のカーブで車が曲がっていく感触に笑みがこぼれるし、ギアチェンジひとつで気持ちいい。エンジンブレーキで下っていくのも、パーシャルスロットルも、アクセルを開けていくのも、イチョウの並木道も、山間にある寂れた橋も、山々の木々も、鳥のさえずりも、風も、世界とロードスターが奏でる音も、全てが一体となってキラキラと輝いている。そこには、さえぎるものなんて、何もない。

頭おかしいんじゃないのコイツ、という感想はさておき、フルオープンで走っていると「フロントガラスが邪魔だー!!」と本気で思う。いや、なくなったら大変だけどね。

長くなったが、ある意味で私がロードスターに乗ることになった原因のひとつでもある、あるウェブサイトの言葉を引用して、1,700km乗った感想の結論としたい。

最初にクルマに屋根を付ける事を考えたやつはバカだろ! (『Life Meets Speed!』より)

2012年10月19日金曜日
魂の駆動体

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ロードスター納車の前に買った本だけど、「なぜロードスターなのか」に私の代わりに答えてくれる本だと思った。これほど見事に、自分の意思を代弁してくれる本に出会うことはなかなかない。

人々が意識だけの存在として仮想空間へと移住しはじめた近未来。養老院に暮らす「私」は、確かな生の実感をとりもどすため、友人の子安とともに理想のクルマを設計する。いっぽう遙かな遠未来。太古に存在した人類の文化を研究する翼人のキリアは、遺跡で発掘された設計図をもとに、あるクルマの製作を開始するが…。機械と人間の関係を追究してきた著者が、“魂の駆動体”たるクルマと自由な精神の解放を謳う現代の寓話。

第二部で翼人のキリアが「飛ぶことはすばらしい」と気付いた後、キリアの上司はこう言う。

人間も飛行機というものを創った。物を運びたいからではない、ただ飛びたかったのだ。

その後、結局キリアは自転車を作って乗ることになるんだけど、その描写がまた素晴らしい。自転車を意のままに乗れるようになった後、車の来ない交差点を目一杯のスピードで、風を切って走りぬけた幼い頃の記憶がよみがえってくるかのようだった。

この小説のように、現実でもアメリカではGoogleが「自動車」の試験を着々と公道で進めている。完成度が高くなれば、交通事故も激減するだろうし、飲酒運転も問題なくなるかもしれない。高齢者も安心だ。しかし、「でも」、と言いたい。それでも、私はいつまでも、「自動車」ではなく「車」に乗っていたい。仮に206が「車」ではなく「自動車」だったなら、今の私はないだろうと思うから。

2012年10月15日月曜日
ハイリフトクラッチペダル&蒜山ドライブ

11月に入るまでは何もいじらないでいこうと思っていたロードスター。ただ、やはり身長だけはどうしようもない。ということで、あまりにも近いハンドルを少しでも離すため、クラッチにドッグファイトのハイリフトペダルカバーを装着。噂通りに装着方法ですったもんだものの、何とか装着後はハンドルもやや適正ポジションに近寄り、相当運転しやすくなった。

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ついでに岡山の蒜山高原めがけてオープンドライブ。うん、悪くないね。欲を言えば、もうちょっと曇っていて欲しかったけど、それは贅沢か。

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2012年10月12日金曜日
ドライブする・ドライブしてくれる

ロードスターはわりとゆるいスポーツカーなので、エキゾーストはそんなに派手ではない。実際に、アフターパーツでかなり聴かせる音にするマフラーも出ていて、交換している人も結構いるようだ。ただ、普通の乗用車からの乗り換えである私にとっては、そのデフォルトの音でさえ、ある時には良く聴こえ、またある時には正直疲れる原因でもある。

最近は昼間が忙しく、毎日肉体的に疲れる日々を送っている。今日も例外じゃなかった。でも、そんな疲れた身体に2500回転~3000回転くらいのエキゾーストが心地よく響いていた。スピーカーからは前オーナーが入れたGReeeeNの愛唄が流れている。

高速と高架でクロスしている長い直線。前、後ろ、車なし。信号が変わって、クラッチを繋いで、1速。3,000で2速に変速した後、自然と足がアクセルを踏み込んでいた。

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前から何かに引っ張られる感じだった206とは違って、タイヤはきちんと地面を噛んで蹴りだす。低音から高音に伸び上がっていく排気音。白く発光したタコメーターの針が、まったくよどみなく7,000まで駆け上がる。3速を経て4速に入れた後の車は、まるでかけっこ後の子供のようだ。笑っている。そして気付けば、日々の疲れは吹き飛んでいる。

車を自分がドライブしているのと同時に、車が自分をドライブしてくれる。その感覚が欲しくて、私はいつも車を走らせているのだと思う。

2012年10月8日月曜日
MT生活

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さて、NCでのマニュアル生活も一週間(おおよそ700kmくらい)が過ぎ、だいぶマニュアルにも慣れて……。

 

……全然慣れませんよ?orz

いやもう経験値がまったく違うのはわかるんだけど、ぽん乗りで試乗記とか書ける人、ほんと尊敬するわ。毎日の往復30kmくらい、週末にようやくエンストゼロで通えるようになりはしたけど、いまだに乗ると疲れる(特に坂道とか坂道とか、あと坂道とか)。正直、3連休中、あまりの疲労に1日しか乗り回せなかったのは、納車時には予想だにしなかった。

まぁ、着座位置にはようやく違和感がなくなってきたので、このまま毎日乗ってればまたすぐに慣れるとは思うから、焦らずにいきましょう。詳しい感想はまた後から後から。

2012年10月1日月曜日
206の次の車

206を降りなければならなかった理由は、今後MTに乗らなければならない時が来るので、その時までにMT車を不安なく扱えるようになってなければならなかったから。ということで、次の車はMTであることを第一条件にして選んだ。

では、MTであることをYahoo自動車のカタログで選択……おぉ、凄い。24870件もあるじゃないか。まぁ、ミニバンとかワゴンとかSUVとか軽自動車とかはありえない。13647件。折角だし年式は206より新しい方がいいね。2558件。フランス車に気に入らない部分はなかったんだけど、国産に乗らないっていうのもなあ。1770件。206は1.6Lでほとんど不満なかったし、税金あがるのもあれだし、3L以上はまだ乗る歳でもないでしょ。1703件。トヨタはちょっと……あと、普段使いするので、無茶なメーカーはあれだ。1564件。

ここまでは一杯ある。さすが日本。しかし次のように思った時、がくんと数字は落ちた。「そうだ、FRに乗ろう」。全てのグレードを含めて68件。乗用車の車種としてはわずか4車種しかない。

  • SUBARU BRZ (そもそも新車は買えない)
  • MAZDA RX-8 (MTに慣れるのが目的なのに、Egが他の車と違いすぎ)
  • HONDA S2000 (グローブボックスもないとか、やる気あふれすぎ)

もちろん、実際にはこんな消去法はしていない。けれども、実際にこうやってしてみると、直感というのは本当に誤らないものなのだと思った。

その車の初代のカタログは、こんな言葉で締められている。

このクルマを手にするほんの少しの勇気を持てば、きっと、だれもが、しあわせになる。

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結論は、マツダ ロードスター。多分多くの人が知っているユーノス・ロードスターから数えて3代目のモデルが次の車になった。

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