2012年10月19日金曜日
魂の駆動体

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ロードスター納車の前に買った本だけど、「なぜロードスターなのか」に私の代わりに答えてくれる本だと思った。これほど見事に、自分の意思を代弁してくれる本に出会うことはなかなかない。

人々が意識だけの存在として仮想空間へと移住しはじめた近未来。養老院に暮らす「私」は、確かな生の実感をとりもどすため、友人の子安とともに理想のクルマを設計する。いっぽう遙かな遠未来。太古に存在した人類の文化を研究する翼人のキリアは、遺跡で発掘された設計図をもとに、あるクルマの製作を開始するが…。機械と人間の関係を追究してきた著者が、“魂の駆動体”たるクルマと自由な精神の解放を謳う現代の寓話。

第二部で翼人のキリアが「飛ぶことはすばらしい」と気付いた後、キリアの上司はこう言う。

人間も飛行機というものを創った。物を運びたいからではない、ただ飛びたかったのだ。

その後、結局キリアは自転車を作って乗ることになるんだけど、その描写がまた素晴らしい。自転車を意のままに乗れるようになった後、車の来ない交差点を目一杯のスピードで、風を切って走りぬけた幼い頃の記憶がよみがえってくるかのようだった。

この小説のように、現実でもアメリカではGoogleが「自動車」の試験を着々と公道で進めている。完成度が高くなれば、交通事故も激減するだろうし、飲酒運転も問題なくなるかもしれない。高齢者も安心だ。しかし、「でも」、と言いたい。それでも、私はいつまでも、「自動車」ではなく「車」に乗っていたい。仮に206が「車」ではなく「自動車」だったなら、今の私はないだろうと思うから。



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